意地悪王子とお姫様


あたしは、何も言わなかった。


きっと、また普通の日がくると思っていたから。


すぐ終わるって思っていたから。



教室に戻ると、ひかると啓があたし達を見る。



「おかえりー」


ひかるが笑って言った。


「ただいまっ」


あれからひかるは、あたし達を応援してくれる。


「また、サボりかよっ!」


啓は、相変わらずだけど。



そんな啓を無視して、恐る恐る席に着いた。


机の中に手を入れる。


「…いたっ…」


………がびょうだ。


机の中から、がびょうがどんどん出てくる。


20個近く入っていた。


さっき、がびょうが刺さったところからは血が溢れている。

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