意地悪王子とお姫様
「転入生が来てる。入ってこいー」
先生がそう言うと、みんながザワザワし始めた。
―――ガラッ
みんなが一斉に静まり、ドアに注目した。
「…………あ、あれっ…!」
あたしは、開いた口が塞がらなかった。
「……おいっ!…あいつっ…」
啓が後ろから、あたしをバシバシ叩く。
「「…格好いいっ!」」
クラスの女子が騒ぎ始めた。
「…杉山要です。よろしく」
そう言って、ニコっと笑う。
その笑顔は、明らかにあたしに向けられたものだった。