意地悪王子とお姫様
▽すれ違い
酷いことしちゃったかな……。
しちゃったよね……。
謝らなきゃ。
咲貴君のことだから、きっと屋上にいるはずだ。
走って屋上に向かった。
ゆっくりドアを開ける。
「ねぇ、咲貴~?」
「なに」
「また前みたいにキスしてよ~」
「やだ」
咲貴君と知らない女の子が喋っていた。
女の子は、咲貴君の腕にくっついてべったり。
触らないでよ?
「…あら、誰かきた」
女の子がこっちを向く。
「よう済んだわけ?どーせ、曖昧にうまく断ったんだろ?」
咲貴君はこっちを見向きもしない。
否定できなかった。
事実だったから。
「雨芽は、誰にでも優しくするよな」