意地悪王子とお姫様
そんな、ある日。
「雨芽に話があるんだっ!」
いつもとは、ちょっと違う。
強張った顔をしている、要君。
「どうしたの?」
みんながいる教室にも関わらず、要君はあたしを真っ直ぐ見つめて言った。
「雨芽の笑顔が大好きなんだっ!」
「………ぇ?」
「絶対、泣かしたりしない!絶対に大事にするから!」
クラスのみんなが騒ぎ始める。
「俺と付き合ってくださいっ!」
「…………は、い……?」
全くの予想外だった。
だ、だって…、あの要君がっ…。
いつも、みんなに囲まれててっ…。
人気者の要君がっ…。
「……う、嘘だあっ!!」
あたしは思わず言った。