意地悪王子とお姫様


「雨芽っ!ほら、虹ー!」


「本当だっ」



とっても幸せだった。


いつも一緒に帰って、デートもいっぱいして。

初めて付き合ったあたしを要君はいつもリードしてくれた。


付き合うってこんなに楽しいんだね?

こんなに幸せな気持ちになるんだね?




「クラス、離れちゃった…」


中学2年になって、クラスが離れてしまって。

あたしは、正直不安だった。


「大丈夫だよ?俺、いつも雨芽のクラス行くからねっ!」


要君の明るい声とその笑顔で、安心することができた。


「寂しいょっ…」


あたしが泣いた時も、いつも要君の明るさで元気になれたよ。



「雨芽っ!泣かないで、笑って?」


「……ぅん」


「大丈夫!俺は、雨芽だけだから」


要君がこう言ってくれていたのに。

あたしは、素直に信じていなかったんだ。

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