意地悪王子とお姫様
「……咲貴君、怖いもん…」
冷たかったな…。
またあの女の子とらぶらぶしてるの?
また前みたいにキスしちゃったりしてる?
―――咲貴を私にちょうだい?
考えるだけで、嫌気がさして涙が溢れてきた。
「……嫌だょー…」
泣いたって状況は、変わらないし。
前みたいに戻れない。
怒らせたのは、あたしなんだ。
「…すぐ、泣かないっ!」
ひかるも困った顔をしている。
「……ひかるちゃん~…」
「とりあえずさ、告白の返事もきちんとして。黒木とちゃんと話し合うのっ!
わかった?」
ひかるの問いかけにあたしは、唇を噛みしめて頷いた。
「……頑張るっ…」
あたしがそう言うとひかるは、笑って抱きしめてくれた。