意地悪王子とお姫様
憂鬱な1日だ。
咲貴君は、目の前にいるのに喋りかけることさえできない。
「おーい。生きてっかー?」
啓も、いつも以上にウザ絡みだし…。
「あー、もう!生きてるから、ほっといてよっ…!」
授業中にも関わらず、大声をあげてしまった。
おかげでみんなの注目の的。
「…え…、いや…あのっ…」
あたしが挙動不審になっていると要君が目に入った。
笑いかけてくれて、あたしも思わずニッコリ笑う。
そのまま、何もなかったかのように落ち着いた。
ありがとう、要君っ…!
ふぅー…。
席に着いて、前を向く。
「……う゛っ…」
…ど、どうしよう…。
再び挙動不審になってしまう、あたし。
咲貴君が不機嫌そうにこっちを睨みつけていたからだ。
怖い…怖すぎるっ…。