意地悪王子とお姫様
あたしが口を抑えたのは、告白とか恥ずかしいとかじゃない。
今日、ひかるちゃんに言われたばっかりだった。
『もう、今日から黒木とは関わるな。
わかった?』
『うーん…。』
『雨芽?…わかった!?』
『もー、わかったわかったよっ!!』
逆ギレして、そう言ったんだった。
「どうかした?」
咲貴君があたしの顔を覗き込む。
「…い、いや、なんでもな…、」
――バサバサっ…。
鞄に入れようとしていた教科書が落ちた。