意地悪王子とお姫様
「それでも俺が好きなんだ、雨芽は。」
――変な奴
そう言って、あたしの頭を優しく撫でる。
「…だ、だって、あたしはそれでも咲貴君のこと王子様って思ってるよっ!!」
「お姫様候補が多い王子様だって?」
クスリと咲貴君は笑う。
「…違うよ!!絶対、あたしがお姫様になるもんっ!!」
絶対…、絶対…。
「本当、変な奴だな。じゃあ、雨芽もお姫様候補にしてやるよ。」
「……ほんと!?」
「バレたら、面倒なことになりそうだけどね。
雨芽には、まとわりが多すぎるから。」
「大丈夫だよっ!!」
あたしは、自信をもって言った。