意地悪王子とお姫様


咲貴君の唇が下がって、鎖骨に当てられた。



「……ひゃっ…。」


びくっとなるあたしを楽しむかのように、すーっと唇がつたう。



「…んゃっ…。」



「……感じすぎ。」



そう言って笑う咲貴君の笑顔は、王子様じゃなくて意地悪な笑顔だった。



――――――――――



「ねぇ、雨芽?」


ボタンをつけなおしてるあたしを面白そうに眺めている咲貴君。


「…な、なにっ…?」


お願い、喋りかけないでっ…!!


「俺がつけてやるから、こっち来いって。」


咲貴君が笑って言った。



手が震えて、ボタンをつけなおすのに悪戦苦闘していたあたし。


だ、だって…、あんなことしちゃったんだよ!?


それに、服着る時もずっと咲貴君見てくるんだよ!?


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