意地悪王子とお姫様
「…だ、大丈夫っ!!」
お願いだから、もう喋りかけないでっ!!
胸の高鳴りが邪魔だった。
「…大丈夫じゃねーくせに。」
「……っ!!」
後ろから、咲貴君が抱きついてきた。
これ以上、胸の高鳴りを加速させないでなんて言えるわけもなく。
体も心もギリギリのあたしに限界がきた。
「手震えちゃって、雨芽かーわいっ。」
「…なっ、なな…。」
何言ってるのっ!?
もうやだやだやだっ!!
これ以上、からかわないでよーっ!!
あわあわしてるあたしを見て、咲貴君は意地悪な笑みを浮かべる。
「可愛いよ?」
あたしの耳元で囁く。
「……んぅー…。」
お願いだから、からかわないでー。
恥ずかしくて、半泣きで顔が赤くなる。