意地悪王子とお姫様
「心配すんな、誰もいねーよ?」
「けどっ…。」
――バレたら、終わり
咲貴君の言葉が頭をよぎる。
「触れるぐらい、いいだろ?」
優しい笑顔。
温かい指先であたしの目元をなぞる。
「なんか、あったのか?」
あたしは、ただ咲貴君を見つめていた。
ねぇ、大好きなんだよ。
なんで、ダメなのかな?
すきですきでたまらないのに。
なんで、分かってもらえないのかなっ…。
涙がどんどん溢れてきた。
「泣くなよ…。」
「………ぇ?」
「ごめん。」
咲貴君から抱きしめられた。