意地悪王子とお姫様
「咲貴君っ…?」
ダメだよ、なんて言えない。
嬉しかった。 温かいぬくもり。
咲貴君が泣かないでって、言ってるみたいだった。
「…誰かに見られるよな。」
そう言って、咲貴君が離れる。
「いやだよっ…。」
自然に口走っていた気持ち。
ぬくもりを感じていたかった。
ねぇ、咲貴君に恋しちゃったせいだよ?
――少しでも近づきたい
精一杯背伸びして、咲貴君にキスをした。
咲貴君は、少し驚いた顔をしたけどそのあとは優しい笑顔で笑ってくれた。
「雨芽のくせにやるじゃん。」
そう言って、また抱きしめてくれる。
他の女の子がどうとか関係ない。
ただ、咲貴君が大好き。