神々の歌
イッコク村の人達は、オレを魔物呼ばわりしなかった。
オレは、確かにシャリマや、母さんや父さん達と違い『人』の姿はしてない。


だけど、心は人だよ…

イッコク村の人達は、オレの事を『人』として扱ってくれた。
ガッカリだよ…世界中の人は、みんなイッコク村の人達と同じだと思ってた。

シャリマ…オレ、イッコク村に帰りたい。


シャリマは、言った。一昨日、旅に出たばかりで引き返せないよ。ドラム、あんた解ってるの?
アタシ達は、白龍様の力を託された特別な存在なんだよ!
アタシ達が、四つの歌を集めて、悪しき雲を払わなかったら誰がやるの?誰がやれるの?
お父さんやお母さん、アタシ達のイッコク村も滅びてしまうんだよ。

あんた…白龍様の姿に似てるけど、ただの意気地なしね。
いいわ!あんたは、家に帰りな。
アタシ一人で、悪しき雲を払うから。


ドラムは、悔しくて瞳から、熱い涙をポタポタ流しました。
ドラムは、自分の弱さに悔しさを感じ、理不尽な世間に…涙したのです。

でも、ドラムは帰りませんでした。
シャリマを守りたいし、お父さんとお母さん…イッコク村を守りたかったからです。
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