アイ色のペンキ

メール

『久しぶり! 元気?』

それで始める二人の何気ないやり取り

いくらでも携帯をにぎりしめていても飽きない時間

文を見て分かるお互いの調子

君の名前で埋まる受信フォルダー

けして埋まらない物理的な距離

できれば埋めたい友達という二人の距離

君と君の彼氏がうまくいかない時は、君は僕に話しかける

彼氏の愚痴、友達への悪口

僕は嫌がらずに聞くから、君は僕をいいやつだと思ってるだろう

でも本当は心のどこかで、君が彼と別れてほしいと願う僕がいる

だから感じる罪悪感が

君にメールを送ろうとする指を凍らせる

君が好きなのに

胸まで痛いのに

それだけ好きなのに

君と距離を埋めるのを躊躇させるんだ

だからせめて

僕に言ってくれ

僕は君の最高の友達だと言ってくれ

そうしたら

僕は君に愛情をいだかないから

僕と君の間には友情以外なくなるから

君と彼氏の幸せを心から祝えるから

いつか自然にお互いの存在が消えてなくなるから

それが辛くなくなるから

それが友情だから

それが最初で最期の

僕から君への愛情だから
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