柘榴
キシは痛い目に合ったものの、婚約者になれたことに嬉しさを隠せないようだ。

今もタオルで頬を押さえながら、ニコニコしている。

「でもアンタ、洋食コースを選んでいるのに、わざわざ他国のも学んだの?」

「ええ、モチロン。いろいろな料理教室をハシゴしましたとも!」

…おかげでアリバイを取るのも、楽だったらしい。

いろんな意味で目立つからな、コイツ。

ちなみにアタシとコイツの通っている専門学校は、料理の専門学校。

アタシは和食、コイツは洋食。

他にもお菓子の専門科もある。

…なのにわざわざ、他国の肉料理を学んでいたのか。

本当に愛されているな、アタシ。


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