柘榴
「…ついに? ついにって、何?」

「いやぁ、ヤスヒロ先生は話しやすい人ですからね。ついウッカリ」

「確信犯だろう! お前!」

「まあ否定はしません。けどワリと情報は集められましたね」

キシは真面目な顔になり、壁に寄り掛かった。

「ヤスヒロ先生のレシピは、言わば知る者が知るってカンジですね。そして先生はここから地下鉄で2駅先のマンションに住んでいるんですけど、住居用の部屋とは別に、隣の部屋を料理教室用として借りているんですよ」

「ふぅん。まあ先生にとっちゃ、通勤時間が無いも同然で楽じゃない」

「ええ、そうですね。教室が終わった後、先生の部屋に集まって、飲み会をすることもありましたから」

「いいなぁ。今度連れてってよ」

「喜んで。でも二人だけってのも、良いですよ」

「それは後でにしてね」

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