柘榴
そう言ってキシはアタシを見て、にっこり微笑んだ。

「なのでボクは証拠を見つけてきます。ヒミカはここで待っていてくれませんか?」

「えっ! ここで? アタシも行くわよ!」

「ダメです、危険過ぎます。犯人はアナタの正体を知っているかもしれないんですよ?」

「それだったらキシだって…」

「ボクは独自のルートがありますから、大丈夫です」

…確かにコイツ、そのルートでウチの血族のこと、知ったんだったな。

「だから大人しく、ここで待っててくださいね?」

「…早く帰って来る?」

「陽が沈むまでは、必ず」

そう自身ありげにキシが言ったので、アタシは頷くしかできなかった。

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