柘榴
アタシがポカンとしている間に、キシは笑顔で殺気を放ちながら話を続ける。

「そして例の料理教室が、料理した所なんですね? 料理教室ならば、それなりの設備に調味料も揃えているでしょうし。ましてや普段は肉料理専門ですから、料理をしてても疑われることもなかったでしょう」

「そうだね」

「そして料理を準備して、公園に準備をする。…そしてヒミカが来るのを、待っていたんですね?」

「でもヒミカくんは一度たりとも来てはくれなかったけどね。まさか生が好みだったとか?」

サガミ先生は笑顔でアタシを見た。

「ヒミカは人を食いませんよ、サガミ先生」

「自分の生き血は飲んでもかい?」

「ええ。ヒミカは自分を傷付けることで、他人を傷付けずに生きてきたんですよ。―あなたが余計なことをするまでは」

キシの眼に、鋭い光が宿った。
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