柘榴
「ヒミカくんが自分の血を飲むところを見た時から、心奪われててね。それでもキミをどうこうしようとは考えていなかったんだ。ただ…」

先生はキシに視線を向けた。

「キシくんと付き合いだしたことを知って、流石に冷静ではいられなくなった。だからせめて、特別な存在にはなれなくても、キミの為に何かしたかった」

「それが猟奇殺人事件の動機ですか? 何ともまあ、バカらしい理由ですね。ヒミカに料理を食べてもらいたいが為に、人殺しをするなんて」

「キシくんは簡単にヒミカくんに料理を食べてもらえる立場だから、そう言えるんだよ。だから僕はこんな方法しか、取れなかったんだ」

先生は自分の両手を広げて見た。

「…でも流石は優等生のキシくんだね。警察なんか足元にも及ばない捜査力だ」

「そりゃ、ボク自身とヒミカの為なら。…ああ、ちなみに証拠は例の料理教室で見つけましたよ。殺された人間の残骸が、まだ残っていましたからね」
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