柘榴
どうしてこんなことになった?

いつからおかしくなった?

アタシは誰にも傷付いてほしくないから、自分を傷付けていただけなのに!

血に塗れた先生の手が、アタシの頬に触れた。

いつの間にか流れていた涙を、拭ってくれる温かな手。

でも…急速に熱は失われていく。

アタシの血族としての能力は、血肉を食す代わりに、自分の身体能力を上げるだけ。

マカのように、『気』を使うことはできない。

だから…死に往くサガミ先生を、助けることはできない。

応急処置をしても、救急車を呼んでも、もう…。

「…泣いて、くれる…ですね。やっぱ…り、あなたは優しい…コだ」

優しくなんてない! 

こんな涙なんて…意味が無い。
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