好きだと言って。


「カッコイイ!!まじイイ!!」

「ちょっと!押さないでよ!」

「和稀くん、こっち向いてー!!」


暑い。

人口密度高すぎ。

学年関係なしで人気のある王子様。


だから、いつもよりも暑い。

ものすごく暑い。


「萌え〜!」


何に萌えてるかわからないけど、こっちのが燃えそうだと叫びたい。


そう思った時だった。


「キャー!!」


ふわっといい匂いがした。


「ごめん、通して」



王子様だ。

たまたま、ホントたまたまあたしが入口にいたから、だから

だから…


「ごめんね、あと、このコも通してあげて」


王子様があたしの肩をポンと触る。

驚いてパッと見上げると、王子様は目を少し細めて笑った。




…びっくりした。

あたし、王子様に話し掛けられた。

初めてあんな近くで見た。


その時、胸の奥がキューっと締め付けられた感じがした。


あたしは、これを恋だと思った。


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