好きだと言って。




近くで見るほど、やっぱり彼は綺麗で圧倒的に拒めない強い眼差し。



そんな瞳にあたしは怯みたくないし、負けたくない。


だから、あたしは逸らさない。


その瞳から、あたしだって逸らしたくない。



「…アンタって、ほんとムカつく。」


少し歪むその表情(カオ)が、なぜだか切なく見える。

「俺に逆らうのなんて、お前くらいだ。」


あたしだけじゃない。

コイツだって負けたくないんだ。

自分に逆らうあたしに負けたくないんだ。


お互いこれは意地でもあり、プライドでもある。


あたしは、間違ったことは間違ってるって思うし、嫌いなものは嫌いだ。


コイツが“いじめ”をして愉しむことは間違ってると思うし、こんな奴は嫌いだ。


あたし負けない、こんな根性捩曲がってる奴なんかに平伏さない。



「…だけどさ」


不敵に笑みを漏らす。




「こんな密室じゃ、アンタに勝ち目はないよね?」





ニヤリと愉しそうに奴は口の端を上げた。



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