好きだと言って。


ギュッと目をつぶり、深く下を向いて深呼吸をした。



こいつは最悪なんだ…!
あんなことを“ゲーム”なんて言って、あいつには裏の顔があるんだ!



そう自分に言い聞かせながら、落ち着こうとさせる。





『口止め料、まだだったね』


艶美な口元を思い出し、カァッと頬が熱くなる。


カサッ


「え…」



目を開けて見れば、机の上には小さな紙切れ。


なんだ、なんだと思いながらも開けてみると、そこにはきれいな文字が。

見たことのある字。



『放課後、残ってろ』



隣を見ると、王子が微笑んでいた。


珍しく。


あたしに。



「なな…っ」



サーッと背筋が寒くなったのは、慣れないからなのだろうか。


それとも、その笑顔の裏が見えてしまったからだろうか。



“わかったな?”



そう王子が口を動かしたのが、瞬時に理解できた。


「…嘘でしょ…」


_
< 24 / 56 >

この作品をシェア

pagetop