好きだと言って。
ギュッと目をつぶり、深く下を向いて深呼吸をした。
こいつは最悪なんだ…!
あんなことを“ゲーム”なんて言って、あいつには裏の顔があるんだ!
そう自分に言い聞かせながら、落ち着こうとさせる。
『口止め料、まだだったね』
艶美な口元を思い出し、カァッと頬が熱くなる。
カサッ
「え…」
目を開けて見れば、机の上には小さな紙切れ。
なんだ、なんだと思いながらも開けてみると、そこにはきれいな文字が。
見たことのある字。
『放課後、残ってろ』
隣を見ると、王子が微笑んでいた。
珍しく。
あたしに。
「なな…っ」
サーッと背筋が寒くなったのは、慣れないからなのだろうか。
それとも、その笑顔の裏が見えてしまったからだろうか。
“わかったな?”
そう王子が口を動かしたのが、瞬時に理解できた。
「…嘘でしょ…」
_