好きだと言って。


頭悪いとか…

図星で、悔しいけれどなにも言い返せない。



「な、なにそれ。やだよ」


「拒否権あるとか、自意識過剰じゃない?」


「はぁ?」


「違う。自信過剰?俺のがお前より偉いの。わかる?」



ますますわけのわからないこと言い始めたよ、この男。


自意識過剰に、自信過剰はどっちだコノヤロウ。


ちょっと周りにちやほやされて育ったやつは、これだから嫌なんだよ、まったく。



「文句ありって顔?」


「当たり前じゃん」


そう言い返しながらも、昨日と今日とでなんだかあたしに対して口数増えた?なんて思ったり。



「手、どうせお前じゃ放せないだろ?」


「繋いでいる意味がわかんない。早く放せよ、変態」



だんだんイライラして、口調が荒くなる。



「あーあ、でた。もっと女らしい話し方できないわけ?」


「中学じゃ、みんなそうだったの」



そう言い返すと、王子は「女の園は怖いね」なんて笑った。


なんだ。

こっちの方がいいじゃん。



今まで見てきた胡散臭い爽やか気取りの笑顔より、今の笑顔の方が自然でいいと思った。




「…見とれてんなよ」


フッと馬鹿にしたような笑い。



「勘違いはほどほどに」


あたしもマネして笑ってみたけど、あまりきまらなかった。



というか、一体、この男はなんのためにあたしを呼び出したのだろうか。

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