好きだと言って。



「それ…大事なものなの。」


「へぇ…。だから、意味あんの?」


「…は?」


「“S&A”って。イニシャルみたいなんだけど。」



なんで、こんなことを検索されなければならないのだろうと思ったけれど、財布を返して貰えなくなるのが嫌で仕方なく話した。



「そうだよ。」


「誰と誰の?」


「あたしと…」


「彼氏、とか?」



そう言われて、カアっと頬を熱くなった。



「今は違う!」


「へぇ…元カレね。」



つい墓穴を掘り、下を向くしかできなくなっていた。


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