好きだと言って。



まっすぐとした王子の瞳。


なんだ。なんだ。

なにが起きた。


状況についていけず、内心あたふたしていた。

いや、頭の中は真っ白でなにも考えられなかった。


ぐるぐると、いろんなものが走馬灯のように流れた。


整理されていない頭の中は、ぐるぐるというよりごちゃごちゃだったのかもしれない。



「え…と…」



王子が何も言わないものだから、沈黙が続いて気持ち悪かった。


かゆい。

そんな感じ。



あたしの唇が何か言わなきゃと、勝手に唇が震える。



「な…どゆことですか?」


やっと出た言葉はこんなものだった。


言ってから、「しまった」と思った。



こんなまともに質問してしまった!

どうせからかってるだけなのに、真に受けちゃって…


恥ずかしくて俯いていた時だった。




「だから…」


「え…っ」


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