好きだと言って。



「そんなに過去引きずりやがって!」


そう言われて、王子に窓から投げ捨てられたキーホルダーを思い出した。


そうだ。

この男が変なこと言い出すから、忘れちゃいけないことを忘れていた。


さ…最悪だ…。



「取りに行かなきゃ…!」


「待ってっつの!」


「ちょ…っ?!」



手首をいきなり掴まれてバランスが崩れた。


そのまま王子に体を預けてしまい、二人して床に倒れてしまった。



こッ!


この大勢はァア?!!



「…大胆だな。」



王子を下敷きにし、その胸に飛び込んだ形になっていた。


「ち…ちがっ」



ニヤッと意地悪く笑う王子。



さっき、顔を真っ赤にしていたあの男はどこにいったんだ!



急いで体を退けようとすると、腰をギュッと引き寄せられた。



「ぅッ…おおいぃッ!」

「…色気とかないの?」


呆れた声が下から聞こえた。



でも、でも…!


この大勢はいくらなんでも恥ずかしすぎる…っ!

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