好きだと言って。


放課後、隣の席から発見した汚い写真を見た。


授業中、隣の王子がぐしゃぐしゃに丸めたソレをちらりと見たから。


掲示板に貼られていた写真と同じもの。



犯人は、隣のこの男だとすぐにわかった。


合成写真。

いつ撮られたかわからない自分の写真と、どこで見つけたか知らない写真を合成してつくられたものだとわかった。



それでも、あたしへの中傷などは修まらなかった。



“ヤリマン”

“淫乱”



どこで覚えてきたんだよ、お嬢さん方…。


黒板や、机、教科書に書かれた中傷を見て思ったりもしたけれど、一番憎かったのはこの男…

王子だった。



それから、あたしに友達なんてできるはずはないし、入学してからひとりきり。


私立に通う、坊ちゃん嬢ちゃんらは、外部入学であり、あからさまに浮いたあたしを受け入れてはくれなかった。


_
< 5 / 56 >

この作品をシェア

pagetop