好きだと言って。


それから、当たり前のように一人ぽつんなあたし。


隣から無言の圧力を感じる。


最近、王子の態度は以前より酷くなっている。


あたしに対しての冷たい態度がオープンになりつつある。



嫌いなら嫌いだと、以前のように言えばいいじゃないか。





そんな一言さえも、彼は面倒くさいのだろうか。


それとも、あたしなんか気にかけていないのだろうか。

本当にわかりにくい男だ…。






そんな彼は、今日も輝きを放ちながら、あたしの隣に座っていた。



キーンコーンカーンコーン



「間宮さん、次選択じゃない?

あたし、和稀くんの隣に座りたいの。

譲ってくれるかな?」


予鈴が鳴ったと同時に、あたしの席に来た彼女


原 愛奈 (ハラ アイナ)


可愛くて、いつも女の子たちの話の中心にいる。
うちのクラスのリーダー的存在のひとり。


もちろん、断る理由なんてないから




「…いいよ。」


喜んで譲りますとも。


あたしは、好き好んでこんな席にいる気はない。


そう思って席を立ち、椅子を引こうとしたとき…


ぎゅ


(え?)


いきなり掴まれた手首に、一瞬驚いた。


「選択だからと言って、席を変えるのはいけないんじゃない?」


あたしの手首を掴んだのは、隣の席の王子。


視線は原さんにあって、あたしではない。



「はぁ?!去年は、自由だったんだからいいじゃない」


原さんが何か言う前に、あたしは少し早口になって言った。


「それでも、俺の隣は間宮さんだし、ね?」


キラキラと笑顔を振り撒く。

さすがの原さんも、至近距離での王子スマイルにやられたのか、素直に自分の席に戻った。




少し静かになった周り。


あたしは立ったたまま。



「…何考えてんのよ」


「別に。俺は、ただ真面目に授業を受けようねって言っただけ」


さっきまで放さなかった手を簡単に放して、あたしを見ずに話す。



いちいちムカつく態度。


「わけわかんない。」


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