Fly
「じゃ、じゃあ…智のお話、聞きたいな…。」
智「いいよ。」
智はにこっと笑った。
智「おいらはね、親がいないんだ。」
「へ…。」
智「生まれてからずっと、ばあちゃんに育てられたから。
で、ばあちゃんが死んじゃって、連の母さんにカプセルの住民をすすめられたんだ。」
「それで…?」
智「そうだよ。」
「父様と母様が、いない…。」
智「でも、この人生で満足してるよ。
連に出会えたから。」
「さと、る…。」
智「そんなに悲しい顔しないでよ。」
「うんっ。」
連はにこっと笑った。
和「次、俺いい?」
「お願いします。」
和「んふふ、俺はね、親が事故で死んだの。
それで、連の母さんに拾われたんですよ。」
「そっか…。」
和「俺も悔いはない。
カプセルの住民で満足してるし、連に出会えてよかったと思ってる。」
「ほんとに…?」
和「まじだってば。
嘘はつきませんよ、俺。」
「うんっ。」
毎回毎回、悲しい顔をする連が心配になってきた智。