春夏秋冬


「好きな人を見ると、逃げちゃうんでしょ?」

「……え、あ……」


顔に熱が集まる。


恥ずかしい!

先輩は、最初からあたしの気持ちが分かってたんだ!!


そう思った瞬間、再びあたしは逃げだそうとした。

でも部屋のドアを開ける前に……。


ドンッ


顔のすぐ右には先輩の手があって、左手はドアノブを引き戻していた。


「逃がさないよ」


本日二回目の言葉。

もう彼から逃げられない。


「今日は大切な日になるんだから」

「……た、大切な日?」

「さて、そろそろ聞こうか。なぜ逃げるのか」
< 23 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop