春夏秋冬


冬がドアを閉めたのを確認してから、俺はアキの背中に腕を回した。


「なぁアキ、なんで泣いてんの?」


アキは俺の制服を掴む手に力を入れるだけで、なにも言わない。


「……どうした?アキ……」

「……あ、あの……」


少し話し出した声は鼻声で、まだ泣いていることがわかる。


「あのね……ナツの気持ち考えたら……」

「俺の気持ち?」

「……辛くなって……」


俺が放心状態だったから?

そんな俺の気持ちを、考えてくれたの?


「あと……」


まだ、あるわけ?
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