春夏秋冬


授業が終わるといつもの桜の木の下に行く。


葉が散って、枝が丸見えな桜の木。

秋になると、春と違う雰囲気に変わる。


桜の裏に回ると必ず彼が待ってる。


「ナツ……」

「お、アキ。じゃ、帰るか」


そう言って差し出してきた手を握り、ナツを立ち上がらせる。


触れるとドキドキする。

夏のあの日以来毎日そうなのに、ドキドキはなくならない。


「サンキュ」


優しい声が耳元で聴こえた。

これももう当たり前になってるのに、あたしの顔は赤くなる。


真っ赤になる。


それを見てナツが笑う。
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