My girl
マフラーから離れたその手は、俺の背中に回って
ギュッと抱きつかれれば、キュウッと甘い音を立てながら今度は心が締め付けられる。
この心臓の鼓動も、腕の中に納まっている美桜には筒抜けだろう。
「どうし、て……?」
率直な質問だけど、聞かずには入れない。
今はこんなに近くにいるのに、抱きしめているのに。
――俺は
美桜のことを何一つ知らない。
そんな事実が
温かな体温さえ
小さな息遣いさえ
全てが嘘で彩られているようで。
何もかも全てが遠くに感じる。