My girl
ただっ子のように、むぅっとほっぺを膨らます美桜。
さすがに、抱いたまま歩く訳にはいかないか。
「分かった分かった、――おろすから」
父親になるって……こんなカンジなのか?
妙に変な気分になりながら、美桜の手を取った。
くるっと、こっちを向いた拍子に長い髪が舞う。
「――さ、行こうか」
駅でいいんだよな?
そう、聞くと。
コクンと静かに頷く。
本当、あんまり喋んないよなぁ……。
決して綺麗とは呼べない夜空の下美桜とふたり、手をつないで歩いた。