My girl



その闇の中、確かに……何かが動いた。



闇に慣れていない、
俺らの瞳と


闇に慣れた彼女の瞳。



ふたつの視線が、交錯する。




――ジャリッ

道に転がる石ころが
靴の裏側で僅かな音を立てた。



黒く伸びる彼女の影に
一歩、近付いた瞬間――――。





「――来ないでっ」


もう一歩踏みだそうとした足が、
彼女の制止の声で……
ピタリと止まる。


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