My girl
誰が
誰を好きで
誰が
誰を愛しているのか
天秤にかけられたキモチの上で
運命は、動き出す――…
「……――ッ」
“オヤジ”
そう言いたいのに
喉のすぐそばででかかっていた
言葉は“声”となって出てきてはくれない。
出てくるのは……
どす黒い嗚咽ばかり。
未だに
窓の向こう側に広がる世界に視線を奪われている美桜は
そこから一歩も動けずにいた。
吐き出される白い息が……
なんだか現実味のないものに思えるほどに。
「――…美桜」