My girl



履きつぶした、ローファーから
視線を“影”から“彼女”へと持ち上げた。




――フワリッ


長い髪をなびかせながら、高い塀へと飛んでしまう。


まるで、
足に羽でも付いているように。


身軽なネコのように、
自分より高いであろう塀に飛び乗った。


月を隠していた雲が、
風に流れて


青白い光が、深い漆黒の闇を優しく照らす。




顔だけを、こちらに向けて。




――「……ダレ?」


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