My girl
細長い両手をベッドに付き、俺の真上に起き上がるネコは
そのしなやかな身体を俺の前で晒す。
「あんまり……煽んないでね」
その言葉にパッと後ろを振り向くと、美桜は散らかった服をかき集めて急いで着替えてしまった。
でも
俺の目は見逃さなかったよ?
美桜の顔が真っ赤になったとこ。
やっぱり
女の子は恥じらいがなくっちゃ。
なんて
女の子の
理想像を思い浮かべながら
また腕の中に戻ってきた小さなネコを抱き寄せた。
「あの時は、ベランダから出たの?」
「……うん」
ネコを拾ったあの夜。
隣に感じていた体温が急になくなる寂しさを初めて知った夜。
朝になると
美桜はもういなかった。
開けっ放しの窓と、手紙。
「身軽だね」
今度は離さないようにと
朝を迎えても
この体温を感じたままで
俺を安心させて。
トクン、トクン……と、
美桜の小さな心臓の音に不思議な安心感を覚えながら
ひとつの
ベッドで身を寄せ合った。