My girl
「起きてたの?」
「うん、さっき」
オヤジから衝撃的な話を聞いた後ホットミルクを持って部屋に戻って来た。
ベッドの上に腰かけている美桜の表情が、なんだかいつもと違って見える。
「ホットミルク飲む?」
コトッとガラスのテーブルにカップを置くと、ずっと窓の外を見ていた美桜がこちらを振り返った。
「……ありがとう」
トコトコと裸足でフローリングを歩いてくる美桜はまるで、小さい子供のよう。
不意に湧き上がる抱きしめたくなる衝動を、グッと抑えた。
「未来の作るホットミルク好き」
――昔
パパも良く作ってくれたの。
その味に、似てる。
そう言って微笑む美桜は
今までにないくらいに優しい顔で笑ってみせた。
――…まるで
冷たい瞳が溶けたように。