My girl
今はもう、太陽は高い位置にいて空もこの街も照らしていて。
「そろそろ……帰る。お母さんにも…お兄ちゃんにも心配かけたから」
「ああ」
“お兄ちゃん”
クリスマスのあの日、美桜を必死に追いかけてきたあの夜。
このまま美桜をひとりで帰しても大丈夫なんだろうか――
そんな不安が頭の中をよぎった時
「大丈夫だよ」
俺の不安を溶かすような、優しい笑顔を見せてくれる。
どうやらこのネコは、人の感情を察知するのが得意な様子。
「今日はお母さん、休みの日だから。お兄ちゃんも。だから……ちゃんと話し合ってみる」
――居心地の良いこの場所に
未来がいる、この部屋に……
戻ってくるから。
トン、と俺の胸の中におでこをくっつけた。
「待ってる」