My girl


今はもう、太陽は高い位置にいて空もこの街も照らしていて。



「そろそろ……帰る。お母さんにも…お兄ちゃんにも心配かけたから」

「ああ」


“お兄ちゃん”
クリスマスのあの日、美桜を必死に追いかけてきたあの夜。

このまま美桜をひとりで帰しても大丈夫なんだろうか――


そんな不安が頭の中をよぎった時



「大丈夫だよ」

俺の不安を溶かすような、優しい笑顔を見せてくれる。


どうやらこのネコは、人の感情を察知するのが得意な様子。



「今日はお母さん、休みの日だから。お兄ちゃんも。だから……ちゃんと話し合ってみる」


――居心地の良いこの場所に

未来がいる、この部屋に……
戻ってくるから。


トン、と俺の胸の中におでこをくっつけた。



「待ってる」


< 180 / 311 >

この作品をシェア

pagetop