My girl
「あら?美桜のグラスは少し違うのね」
隣に座る美桜のグラスを覗き込んで、首を傾ける咲良さん。
「美桜のは、ノンアルコールカクテルだから」
「未来が作ってくれたんだよ」
俺が説明すると、美桜は嬉しそうに咲良さんに話す。
「そちらのカクテルの名前は何かしら」
ふふ……っ、と柔らかい笑みを浮かべながらグラスから俺へと視線を移す。
美桜とはまた違った大人の雰囲気に一瞬ドキッと心が揺れる。
美桜にそっくりな咲良さん。
美桜も大きくなったら、こんな風になるのかな……なんて思いながら、ゆっくりと話す。
「俺もオヤジと同じで、春の桜がテーマなんだ」
完璧に作れるオヤジと違って、まだ店には出せない試作品なんだけど、頑張って作ったんだ。
「美桜も愛されてるわね」
イジワルな瞳で、美桜に笑いかける。
「名前は、サクラハナビ」