My girl
元バーテンダーだった美桜の父親には、何か秘密が隠されている気がするんだ。
俺の母さんとの繋がり、とかね。
そう言うと
「秘密?」
「単なる、俺の感だけどね」
間違っていても、いい……。
でもこの胸の突っかかりには、何か気になるモノがある。
「私も……ひとつ気になることが、あるの」
美桜にも心当たりがあるみたいだった。
謎が解き明かされていく長い夜。
部屋に入ってきていた月の光は、深い闇を思わせる黒い雲にいつの間にか遮られていた。
「お父さん、ね――?」
今思えば、お母さんを愛していなかったのかな……って。
「どうして、そう思うの?」
絡まった糸が、ほつれ始める。
「愛していないっていうか……」