My girl
小さい頃は、両親の微妙な変化に気が付くことはできなかった。
ただ、家族4人で笑い合ってひとつのテーブルを囲んで。
幼い頃は、それが愛情だと思っていたの。
でも……、愛していなかった。と言えば嘘になるのかもしれない。
だって、愛しているからこそ結婚するんだし……私とお兄ちゃんという子供も授かって。
でも、今思えば――
“家族”に対しての愛と“母親”つまり……
一生、愛すると決めた相手に対しての愛は、少し違うと思うの。
そう話す美桜の横顔は、驚く程大人っぽくて。
「お母さんに対する愛は私たちと同じ……“家族”に対しての愛」
だからと言って、お母さんを愛していなかったとは完全に言い切れなくて……。
そこで、
今になって気が付いたの。
不可解な事故の謎。
お父さんには、お母さんとは……“別に”愛していた人がいたんじゃないかって。