My girl



次の瞬間には、あの塀の向こう側へと姿を消してしまう。


長い髪を、
夜空をバッグになびかせながら。





「追わなくていいのかよ」


塀を見つめたままの志月。



「……いいよ」


俺も塀を見つめたまま返した。





もし、
“何か”があったのなら。



また、
どこかで逢えるだろう。




俺と彼女を繋ぐ、
 唯一のモノは―――…


ポケットにしまわれた、まま。


< 21 / 311 >

この作品をシェア

pagetop