My girl
顔を赤くしながら、ジタバタと暴れる美桜。
ダメだよ……?
「――簡単には、離さない」
周りには決して聞こえないように美桜の耳元でささやいた。
「じゃあ俺、美桜を保健室まで連れて行くから」
周りを取り囲む女子にそう言うと保健室に向かって歩き出した。
保健室は、学校の中から行く方法と、校舎の角にある為外からも簡単に入ることが出来る。
美桜が転んだのは、校舎の裏側の方。
だから、校舎の北側
陽があまり当たらない、芝生がところどころ茶色くなった薄暗い脇道を通った方が近道になるんだ。
「痛い?」
見たところ、血は止まっているけど。
細い足にやけに目立つ赤い傷は、あれを連想させた。
――白い肩に刻まれた赤い跡。
脇道に、一歩踏み込んだ瞬間だった。
美桜の肩がビクッと反応し、俺の首に必死でしがみついてくる。
さっきから気になっていたんだ。