My girl
「……転んだのね?消毒と、絆創膏でいいかしら」
「――はい、お願いします」
保健室の直前で、抱いていた美桜を下ろしふたりで入る。
「よっぽどビックリしちゃったのね」
顔が青白いままの美桜を見て、
“違う”解釈をされてしまう。
美桜が怯えているのは……アイツのせいだ。
“転んだ”せいじゃない。
わざわざ高校まで見に来るなんてどうかしてる――。
これからは、美桜から一層目が離せなくなる。
今までは……美桜狙いの男子の目だけだった。
けど、これからは――
桁がまるで違う危険度Sランク、アイツからも美桜を守らなければいけない。
もう美桜には……あんな顔はさせたくないから。
「そんなに大きな傷ではないから。早く治るといいわね」
最後にポンッと美桜の背中を叩かれた後、ふたりで保健室を後にした。