My girl



そう言うと、美桜の頭の後ろに手を伸ばして、グッと引き寄せた。



童話の世界では

毒リンゴを食べてしまい、永遠の眠りについたお姫さまが、王子さまのキスで目覚めるんだ。



「お、起きてたの……っ?」

慌てふためく美桜。


「や、寝てたよ」

顔を近付けたまま、呟く。


いきさつを説明すると、今日はその逆バージョンな感じ。



「美桜も大胆になってきたね」

唇と唇がわずかに触れた距離。

その距離でささやくと、俺の言葉が……美桜の唇の上で僅かにこすれる。


ピクッとくすぐったそうに目を閉じてしまった。



「おいで」


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