My girl
女の子に冷えは禁物。
まして、風邪なんて引かれたら困るからね。
でも美桜は案外丈夫なのかも。
「あったかい」
いつものように、俺の腕の中で丸まるネコ。
この時間が、1番“幸せ”と呼べるモノなのかもしれない。
「お母さんには内緒でね」
――調べて来たの。
美桜が言葉を続ける。
美桜の父親が事故で亡くなった日あの日確かにお父さんは“誰か”と出掛けていたはずなの。
その事故の処理を担当した、刑事さんに掛け合って。
「私はただ、“交通事故”とだけしか聞かされていなかったから」
お父さんの運転する車に“誰か”が乗ってたなんて――想像してなくて。
そう言う美桜に、妙に納得する。
幼い俺らに、そこまで追求しようとする思考なんてあるハズがないんだ。
目の前から急にいなくなった肉親プツリと途切れる愛情。
残された俺らには、“悲しみ”だけが残って。
その“悲しみ”の裏側に存在していた真実を長い間――見落として来たんだ。
「長月……美空、さん」